電通総研単体ではROI3.2%止まり 「8%以上」の目標どう目指す?

伊藤忠商事が電通グループとの戦略的提携で目指すROI8%以上は、TOB総額の最大2152億円を分母にとります。単純に考えると、枠組み全体で172.2億円以上の利益を毎年稼ぎ出す計算です。

電通総研の今期(26年12月期)の予想純利益は180億円で、伊藤忠商事は38.22%を取得する予定です。電通総研が伊藤忠商事の持分法適用会社となるなら、約69億円が伊藤忠商事の利益に取り込まれる計算です。のれんや持分法の取り込み方の扱いによって実際の数字は異なりますが、電通総研単体のROIは3.2%となり、目標には開きがあります。

この不足する部分は、電通グループとのシナジーで埋める計画です。ITサービス領域では電通総研の経営に関与してCTCとのシナジー創出に取り組む方針であり、5年後に500億円超の新規売上を創出します。また、リテールメディア領域においても、先述のとおり事業利益を24年度の50億円から30年度の150億円まで成長させる方針です。

伊藤忠商事は、電通総研の計画や、確度の高いシナジー効果、また個々の契約で確保している利益を積み上げると、ROI8%は5年以内に達成できるとしています。さらに計画に織り込まれていない部分や成長性を考慮すれば、4年以内の達成や2ケタのROIも十分に期待できると自信をにじませます。

会社側は自信を見せますが、シナジーは外部からは検証しにくい数字でもあります。今後は、計画した利益を実際に積み上げられるかどうかが、2152億円の投資に対する投資家の評価を分けることになりそうです。