狙いは「コンビニ広告」 ファミマの購買データと電通の営業力で覇権を握れるか
今回の提携で注目したいのが、リテールメディア領域の強化です。伊藤忠商事のリテールメディア領域は比較的新しい事業で、21年に立ち上げられました。ファミリーマートのアプリ会員基盤や購買データなどを基に、データ・ワンがSNSなど外部メディアへ、ゲート・ワンが店内の「ファミマTV」へ広告を流しています。
伊藤忠商事によると、インターネット閲覧履歴から広告を配信する従来の運用は、個人情報保護の厳格化により難しくなっており、その代替として小売が持つ購買データが注目されています。ファミリーマートは全国約1万6000店、1日約1500万人の来店という消費者との接点があり、購買データは潤沢です。リテールメディア領域の事業利益は24年度に50億円に達しており、当初の計画から2年前倒しで達成する順調な立ち上がりとなっています。
提携後は、データ・ワンのデジタル広告販売の分野で電通グループと協働するほか、ゲート・ワンについてもファミマ TVの広告枠を電通グループと協働して販売する予定となっており、販売計画についても合意済みとしています。電通グループとの提携により、伊藤忠商事はリテールメディア領域の事業利益を30年度に150億円まで成長させる方針です。
提携後のターゲットとなるのが、自動車・金融・食品など広告予算の大きい業界のマーケティング予算です。伊藤忠商事によると、この3業界の25年の広告費は約4100億円で、うち約3400億円がテレビに投じられています。この予算を、広告主の顧客基盤を持つ電通グループと協力し、リテールメディアに振り向けてもらう狙いです。
一方、電通は6月にもセブン-イレブン系の広告会社への出資も決定しています。電通にとっては、テレビ予算の移り先となるコンビニ広告を押さえておきたいという思惑もあるかもしれません。