「円高で損をする」と「投資する意味がなくなる」は別

では、このままじわりじわりと円高が進む場合、海外資産の投資比率を減らした方がよいのだろうか。

必ずしもそうではない。ここで改めて考えたいのが、そもそも何のために「オールカントリー」をはじめとする海外資産、外貨建て資産に投資しているのか、という点である。オールカントリーに投資する目的は、「円安で儲けること」ではない。日本を含む世界各国の株式に幅広く投資し、世界中の企業が生み出す利益や、長期的な経済成長の恩恵を取り込むことにある。

円安は、そのリターンを押し上げる追い風にはなっても、外貨建てに投資する直接的な理由ではない。為替は追い風になることもあれば、逆風になることもある。しかし、円高になったからといって、世界中の企業や経済成長に分散投資するという「オールカントリー」本来の役割まで変わるわけではない。

むしろ注意したいのは、「さらに円高になりそうだから」と投資方針を変えることである。円高を予想して売却するのであれば、次はいつ買い戻すのかという判断も必要になる。円高になったら売り、円安になったら買うという売買を繰り返せば、世界株への長期分散投資ではなく、為替のタイミングを当てる投資になってしまう。

過度な期待を寄せていないか

今回の円高をきっかけに見直したいのは、外貨建て資産を保有すること自体ではなく、ここ数年の好成績を前提にした「期待値の大きさ」である。

過去数年のリターンを見て、「『オールカントリー』ならこれくらい増える」と考えていたのであれば、足元2年の環境は、その期待値を見直すよい機会になる。同時に、保有する投資信託全体に占める海外株式の比率を上げすぎていないかも確認しておきたい。これは決して「円高だから資産配分を変える」という話ではない。好成績の中では見えにくかった、自分が取っている総リスクを棚卸しする作業である。

繰り返しになるが、2021年以降の「オールカントリー」や米国株の好成績は、あくまで「追い風参考記録」に捉えておいた方がよい。過去数年の好成績を「当たり前」にせず、これからの資産形成を考えていきたい。