NISAを併用しよう

運用する場合に話は戻りますが、もともと運用する新たな資金は退職一時金からの1,000万円です。iDeCoの積み立ては74.4万円×5年=372万円ですので、628万円残ってしまいます。また、5年かけて積み立てますので、平均すると、期間中に運用できている金額はその半分程度にとどまります。

そこで、NISAを利用して1,000万円すべて運用することを考えます。NISAも拠出限度額がありますが、ひろみさんは残枠が1,000万円あるので問題ありません。前詰めで運用を開始すると、1年目360万円、2年目268万円で628万円利用することができます。

 

ただし、上記方法では年間の限度額があるため累計額はすぐに1,000万円とはなりません。極力早く満額運用をしたければ、以下の表のようにNISAを最大限使い、残額があれば特定口座(課税口座)も利用すれば、当初から全額運用することが可能となります。そして、毎年のiDeCoの掛金およびNISAの積立金は特定口座・NISAでの一部売却(表中の△)で捻出します。

表を作るのは簡単ですが、実際オペレーションするのは労力が必要かと思います。ここまできっちりやるかどうかは検討の余地ありです。

 

資金の流動性や運営の手間を考慮しよう

ひろみさんの前提において、税制的には以上の方法が効率的と思います。ただ、60歳以降の生活設計や資金ニーズは予定どおりにはいかないものです。ひろみさんの場合は、一定額のNISA資産を保有することになるため対応しやすいものの、DCやiDeCoに資産が集中している場合では、予定外に取り崩しをする必要があっても、一時金の場合、細切れに引き出しができず、全額払い出しになってしまいます。資金の流動性、自由度を持つためにはNISAをあわせて活用すると良いと思います。

また、60歳以降、収入が比較的少なく、iDeCoに多くを拠出できない場合などは、税制メリットが小さくなる一方、手間や手数料がかかりますので、iDeCoではなくNISAに一本化してシンプルに運営するという考え方もできます。

お得にこだわり過ぎず、取り組みやすい方法を選択しよう

今回はひろみさんを前提にしましたが、みなさまの置かれている状況や今後の資金の利用方針によって、結論は異なるでしょう。特に65歳以降、資産を取り崩して利用する予定であれば、60歳代前半から運用割合を減らすなどの検討も必要になるでしょう。

運用で増やすことや税の損得ばかりにフォーカスするのではなく、老後資金をいつどのように使いたいのか、資産運用リスクにどの程度耐えられるのか、など具体的に検討することが大切です。

加えて、検討結果を実行に移すには相応に手間暇がかかります。計画はできても実行段階で挫折してしまうことが往々にしてあります。老後資金は活用できて初めてその目的が達成できます。自分にあった取り組み易い方法を選択しましょう。

(執筆:三菱UFJ信託銀行 日下部 朋久)

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