生活の質を高める住まいの利活用
このように、日本においては、住まいを資産として認識している層は限定的ですが、 かつてより長期化しつつあるシニア期の生活の質を向上させる観点では、自宅を暮らす場所としてだけでなく資産として賢く活用する意識を持つことが非常に重要になってきています。
また、それを具体化する金融サービスとしては、「リバース・モーゲージ」や「リースバック」があります。とりわけ、シニア期における安心・安全な状態は、ストレスの軽減と精神的ゆとりの有無に大きく左右されると思われますので、この視点も踏まえて、仕組みと効用について整理してみます。
①「リバース・モーゲージ」は、シニア期における「自由と安心の再獲得」
リバース・モーゲージは、自宅不動産を担保として金融機関や公的機関からお金を借り入れる住宅ローン制度の一種で、自宅に住み続けながら生活資金を確保することができます。
借り入れる形態は年金式や一括支払い、限度枠内での引出し方式など様々です。返済方法は原則として、借入れた人の死亡時や契約期間満了時の一括返済とされ、返済金には担保不動産の売却金や現金(借入人が死亡した時は相続人や保証人が支払う)が充てられます。借入金の資金使途は原則自由なので、生活資金の補完として活用可能です。ただし、事業性資金とすることや投資に充てることは認められません。
民間金融機関のリバース・モーゲージは、資金回収の確実性の要請から、自宅不動産であっても土地の担保価値や流動性に着目して、都市圏もしくはエリアを限定して取り扱っている場合が多いのが実情です。また、若年層が利用すると契約期間が超長期となり金利変動や不動産価値の変動リスクが大きくなることから、若年層の利用を不可とする年齢制限(利用は60歳以上など)を行っています。
リバース・モーゲージによってもたらされる心理的な安全性や満足感、効用として、以下のような点が考えられます。
• 月々の資金を得ることで生活費の不安が緩和され、精神的な安定が得られる
• 老後資金に困らず家計の見通しが立つことで、日常生活の満足度が高まる
• 余剰資金で趣味の活動や地域でのイベントへの参加などが可能になる
• 外出や交流の頻度が上がることで、孤立の予防や認知機能の維持も期待される
• 医療・介護サービスへのアクセスが広がり、選択肢が増える(例:リハビリ付きのデイサービスなどの活用など)
