半導体材料「2本柱」の成長シナリオ AI需要を見据え増産へ
続いて、ADEKAが進める半導体事業の成長戦略を掘り下げましょう。
ADEKAが半導体材料で注力するのが、先端メモリ向け高誘電材料「アデカオルセラ」シリーズと、次世代露光技術に対応したMOR(金属酸化物レジスト※)向け金属化合物です。
※レジスト…半導体の回路パターンを形成するための感光液
アデカオルセラはDRAM(揮発性メモリ)の製造工程で使われる成膜材料で、先端メモリ向けシェアは世界1位です。半導体の微細化・三次元化が進むほど需要が高まる特性があり、足元ではメモリの世代交代が需要を押し上げています。
一方、MOR向け金属化合物は次世代の露光プロセスに対応する新材料です。MORは従来型と比べ高い解像度を実現できるレジストで、EUV(極端紫外線)露光をさらに発展させた「高NA EUV露光」向けの活用が期待されています。
両製品に共通する追い風は、生成AIやデータセンター投資の拡大に伴う先端半導体需要の急増です。特に先端DRAMはAI向けの旺盛な需要を背景に各社が増産・高性能化を加速しており、ADEKAはその恩恵を受ける立場にあります。
ADEKAも増産投資で需要にこたえる方針です。アデカオルセラは22年以降に韓国で複数回の増強投資を実施し、生産能力を段階的に引き上げてきました。MOR向け金属化合物については、25年に茨城県へ専用プラントの新設を決定し、28年4月の稼働開始を予定します。
ほかに、ADEKAは先端ロジック向けや後工程向けも強化する方針です。中長期目標として、同社は半導体材料の売上高を27年3月期に500億円超、31年3月期に1100億円超へ拡大する方針を掲げます(26年3月期:360億円)。
ただし、現在の27年3月期の半導体事業の予想売上高は410億円にとどまり、中長期目標に対して約90億円の未達となる見通しです。足元は増産ラインの本格稼働を控えた先行投資局面であり、本格的な拡大は増産効果が出始める28年度以降になりそうです。