2026年に入り商品の新設ペースが加速している「テーマ型ファンド」。投資家を惹きつけるストーリーを持つ半面、流行の移り変わりが激しく、投資タイミングや引き際の見極めが難しい側面もある。長期の資産形成においてどう付き合うべきか、その位置づけに悩む投資家も少なくない。

そこで本稿の前半では、モーニングスター・ジャパン マネジャー・リサーチ部長の元利大輔氏にテーマ型ファンドとの正しい向き合い方について聞いた。後半では、同氏と橋本直子氏によるモーニングスター掲載のコラム『テーマ型ファンド、残高は回復の兆しも資金は流出』(5月7日公開)を転載。市場のトレンドをデータから詳しく解説する。

資金流出でも新設が相次ぐのはなぜ?

――テーマ型ファンド市場では資金流出基調が続きながらも、2026年は比較的速いペースで商品が新設されています。運用会社や販売会社側の意図をどう見ていますか。

テーマ型ファンドは、先進技術や社会変化など投資家の関心を引きやすいストーリーを持ち、証券会社や銀行の対面販売において訴求力が高い商品です。また、運用会社・販売会社にとっては相対的に高い費用・手数料が見込めるという側面もあり、既存ファンドから資金流出が続く中でも、新たに話題性のあるテーマ型ファンドを投入する動機が生まれやすい構造があります。足元では宇宙やセキュリティ、ナノテクノロジーなど従来とはやや異なる新たなテーマへの関心が高まっており、このような流れを捉えた新規設定が増えていると考えられます。

――日本のテーマ型市場について、アクティブ運用が中心で対面チャネル主導で選好されてきたという特有の構造に言及されています。近年は低コストのインデックスファンドが流行していますが、市場構造が変わる兆しはあるのでしょうか。

新NISAの普及などを背景に、シンプルかつ低コストのインデックスファンドへの関心は着実に高まっており、テーマ型ファンド市場の残高回復が緩やかにとどまっている背景の一つとも考えられます。ただし、対面チャネルを通じた投資信託販売については、アクティブ運用中心のプロモーションは変わりにくく、テーマ型ファンドでのアクティブ中心という姿はしばらく続くとみています。一方で、オンライン証券などのチャネルではコストに敏感な投資家が多いので、テーマ型ファンドについても低コストのテーマ型インデックスファンドという選択肢が増えていくことで、アクティブ中心の姿が変わる可能性はあります。

一時的なブームに惑わされないために

――直近で資金流入が目立つ宇宙やナノテクノロジーなどの新テーマは、長期的な資産形成の選択肢になり得るでしょうか。また、投資家がテーマの“過熱感”を見極めるためのヒントを教えてください。

宇宙やナノテクノロジーは実需や技術革新に裏打ちされた面もあり、長期テーマとしての合理性はあります。ただし、一般的に、特定のテーマに資金流入が急増している局面で投資を開始すると、市場の期待が先行して割高な水準で投資を始めてしまうリスクがあることには注意が必要です。「なぜ今このテーマに投資をするのか」、「自身のポートフォリオ内でのテーマ投資の位置づけ」などを冷静に問い直し、短期的な話題性につられて投資するのではなく、長期的に保有し続けるだけの確信があるかどうかを判断の軸にすることをお勧めします。

――テーマ型ファンドへの投資には「慎重な目線が必要」とも言及されていますが、投資初心者はどう向き合うべきでしょうか。保有する場合のポートフォリオ内での適正な位置づけもお聞かせください。

テーマ型ファンドは、特定の分野に特化した投資ですので、長期にわたる資産運用のコアとしては適しません。株式型ファンドであれば、コアには市場全体を捉えるようなファンドを据えるべきです。また、過去のデータでは、テーマ型ファンドが長期で株式市場全体を上回る確率は低いことが示されています。従って、投資にあたってはサテライトとしてポートフォリオの一部に限定し、投資ストーリーの魅力だけでなく、運用費用などもしっかり確認したうえで判断していただきたいと思います。