防衛予算9兆円の内容は?

今期の予算総額は約9兆円という莫大な規模に達していますが、新規契約ベースで見ると約8.2兆円という数字になります。

この差は前年度からの継続案件などが含まれているためです。

出典:防衛省

 

予算の内訳で特に伸びが著しいのは「無人アセット防衛能力」「研究開発」「施設の強靭化」の3つの領域です。

これらは新しい投資テーマとして注目に値します。

また、金額そのものが大きい項目として「スタンドオフ防衛能力」や「装備品等の維持整備、稼動確保」が挙げられます。

特に維持整備に関連する予算は、関連企業への継続的な売上インパクトが非常に大きいため、中長期的な収益の柱となりやすい傾向にあります。

隠れ防衛銘柄の探し方

防衛関連銘柄を探す際、「完成品メーカーだけを見ない」というのはポイントではないかと思います。三菱重工のような大企業は分かりやすいですが、実際にはその周辺に数多くのサプライヤーが存在しています。テーマ投資でアルファを取りにいくなら、その周辺から需要動向をいち早く嗅ぎつけられるかが重要になります。

具体的には、まず防衛省の資料を読み込み、どこに予算が増えているかを確認します。そのうえで、「その能力を実現するには何が必要になるのか」を想像していきます。今回の場合だと、「無人アセット防衛能力」「維持整備」「施設強靭化」などです。

例えば無人化が進むなら、必要になるのは機体メーカーだけではありません。センサー、通信、測定器、制御ソフト、サイバーセキュリティ、シミュレーター、特殊素材など、さまざまな周辺技術が必要になります。さらに、防衛装備は導入して終わりではなく、保守・修理・稼働率向上も重要なので、ITシステムや維持整備に関わる企業への需要も高まるのではないか、といった仮説を立てることもできます。

テーマ投資で注意すべき点は、防衛需要の恩恵で売上が伸びるからといって、必ずしも利益率まで大きく改善するとは限らない、という点です。なぜなら、防衛産業は国との契約が中心で、価格や原価管理が厳格に行われるケースが多いからです。つまり、売上や利益は伸びても、指数関数的に利益が向上していくわけではない、Y=X的な伸びが多いということです。

また需要が拡大しても、それが中長期で安定的に持続するかは別問題です。年度単位で見ても変動がありますし、四半期単位でも数字がぶれやすい特徴があります。防衛関連は案件単位が大きく、期ズレが生じやすいためです。

そのため、四半期決算の結果で一喜一憂するのではなく、「その会社が防衛サプライチェーンのどこを担っているのか」「その役割の重要性が中長期で高まっていくのか」といった構造を俯瞰して見ることが重要です。

もちろん、実際に恩恵を受ける製品群や企業を特定することはそう簡単ではありません。ただ、何かしら業界に精通している方や、技術・商流への知見を持つ方にとっては、非常に有益な銘柄発掘の手法ではないかと考えています。