当面は売上優先、インドへ積極投資 還元強化でROE改善も両立

続いて経営方針に迫りましょう。当面は売り上げの拡大を優先しつつ、株主還元を強化することで資本利益率の向上にも取り組む計画です。

上組は25年5月、「長期ビジョン2035・中期経営計画2030」を公表しました。25年5月期に終了した前中計では、売上高にあたる営業収益が目標3100億円に対し実績2791億円と未達に終わり、成長性に課題が残るとの認識です。PBR(株価純資産倍率)も1倍割れが続いたことから、その巻き返しに向けた5年計画が今回の中計です。

計画の柱は営業収益の拡大です。利益率が低い案件も獲得し、営業収益の拡大を優先します。また、将来の成長を視野に、老朽資産の修繕や処遇の改善も取り組む計画です。

さらに、国内では人口減少による港湾貨物の縮小リスクを見据えつつ、海外事業の本格強化に踏み出します。特にインドを重点市場に位置づけており、25年には現地子会社の設立と現地物流会社ソーラーシュトラ・フレートの買収を実施しました。成長が期待されるインドの成長を取り込み、海外での成長を急ぎます。

一方、売り上げ優先の姿勢を取りながら、ROE(自己資本利益率)の改善も掲げます。売上高純利益率の低下を見込むものの、株主還元を厚くすることで財務レバレッジを拡大し、ROEを向上させる狙いです。30年3月期までの5年間は配当性向の目標を従来の40%から70%程度へ引き上げ、さらに650億円規模の自己株式取得を計画します。

資本効率の改善は効果が出始めています。25年9月に発行済み株式数(自己株式を除く)の3.75%に相当する最大130億円の自社株買いを発表し、26年3月までにほぼ全額を取得しました。不動産や政策保有株式の売却益も計上したことから、26年3月期はROEが前期から1ポイント改善し、目標とした8.0%を達成します。1倍割れが続いたPBRも、足元では1.22倍まで上昇しました(26年5月18日終値)。

今回の中計では積極投資と株主還元を同時に追う方針で、1年目となる26年3月期はおおむね順調な着地でした。好調は今後も続くのか、2年目となる今期(27年3月期)が注目されます。