新生活の裏に溜まるもの

ゆかりが職場復帰をしてから2週間が経つころには、慌ただしい生活にも少しずつ慣れ始めていた。

夜ご飯を食べ終えて、ソファに座りテレビに夢中になっている博樹を横目に、泰司はゆっくりと台所で洗い物をしているゆかりに歩み寄った。

「ゆかり、来月なんだけど出張に行くことになった」

「え? また?」

ゆかりの顔には驚きと嫌悪感がしっかりと出ていた。

「2泊くらいになる。機器の導入立ち会いだからどうしても外せないんだよ」

「それじゃその間は私が全部やらないといけないってこと?」

泰司は気まずい気持ちでうなずいた。

「頼むよ」

ゆかりは大きくため息をついて洗い物を再開した。

返事こそもらえなかったが、受け入れてもらえたと思って泰司は台所から離れようとした。

「洗濯物は? 乾燥終わってるの分かってるでしょ?」

まるで出張に行く当てつけのように放たれるゆかりの冷たい言葉が背中に突き刺さった。

「……分かってるよ」

泰司は苛立ちを抱えながら洗濯機のある洗面所へと向かった。

洗濯機の蓋を開けて、洗濯かごに入れる。かごごと寝室へ運び、それぞれの洋服を仕分けながら畳んでいった。シャツ類をクローゼットにしまおうと扉を開けると、見慣れないプリーツスカートがハンガーにかけられていた。ゆかりのもので間違いないのだが、ゆかりがこんなものを履いているのを見たことがなかった。もともと動きやすい格好を好んでいて博樹が生まれてからは基本的にパンツスタイルばかりだった。どういう風の吹き回しだろうと思ったが、泰司は特に気にすることもなくシャツをしまうとクローゼットを閉めてリビングへと戻った。