豪華な生活の裏側に漂う違和感

新居は港区のタワーマンション。家賃は月45万円。家具は大塚家具で揃え、週末は会員制のラウンジでシャンパンを開ける。そんなキラキラした生活を送るなか、最初の違和感は、結婚して2カ月が経った頃の支払いの場面だった。

「ごめん、今月ちょっとカードの枠が厳しくて。光熱費と家賃、先に立て替えておいてくれない?」

エリートの彼が、たかが数十万円の支払いに困るはずがない。私は「投資に回しているんだろう」と自分に言い聞かせた。しかし、その回数は次第に増えていった。食費、日用品、果ては彼が買った高級時計のローンまで、私の口座から引き落とされるようになっていったのだ。

郵便受けの中に眠っていた絶望

ある日、彼が不在の時に届いた一通の封書。それは、某消費者金融からの「督促状」だった。

震える手で封を切ると、そこには目を疑うような数字が並んでいた。借入残高800万円。さらに別の会社からも、合計で1500万円近い借金があることが記されていた。

「嘘でしょう……?」

ハイスペックな肩書き、高価な贈り物、贅沢な暮らし。そのすべてが、借金によるものだったのか。さらに、彼のデスクの奥から見つかった給与明細には、私が信じていた「1500万円」という数字の半分にも満たない金額が印字されていた。

彼は、私という「ハイスペックな女」を繋ぎ止めるために、嘘を塗り重ね、借金を膨らませていたのだ。目の前が真っ暗になり、膝から崩れ落ちた。そして自分が愛していたのは、亮平という人間ではなく、彼が偽装した「数字」だったという事実に、吐き気がした。

その時、玄関の鍵が開く音がした。何も知らない彼が、いつものように「ただいま。今日はいいワインを買ってきたよ」と、虚飾に満ちた笑顔で帰ってきたのだ。

●結婚後に判明した“理想の夫”の裏の顔。夫婦はその後どうなったのか――後編【ついに“ハイスぺ夫”のメッキが剥がれた…地獄の夫婦喧嘩を経て、32歳バリキャリ女性が見つけた「本当の幸せ」】で詳説します。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。