米国では「誰が解約を判断するか」が異なる
米国では、プライベートクレジットを含むオルタナティブ資産への投資は、多くの場合、独立系の投資アドバイザー(RIA:Registered Investment Adviser)を通じて行われる。RIAは顧客のポートフォリオ全体を継続的に管理し、フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)のもとで顧客利益を最優先とした助言を義務付けられている。特定商品を販売するインセンティブが低く、「今はポートフォリオを見直すべき局面だ」という判断を、アドバイザー側が積極的に行っている。
今回の解約増加の背景には、こうしたアドバイザーたちが非上場BDCと上場BDCの価格差にいち早く気づき、その結果として解約の判断が行われたことが一因となっていると考えられる。つまり投資家個人の「パニック」ではなく、専門家が価格差を踏まえて行った「合理的な判断」が背景にあるのだ。
日本では「販売者」が相談先になる
一方、日本においてプライベートクレジットを含むオルタナティブ商品の多くは、証券会社の営業担当者を通じて販売されている。
商品を販売した主体と、その後の助言を行う主体が同じであるため、「解約すべきかどうか」「別の仕組みに乗り換えるべきかどうか」を独立した視点から判断するプロセスが存在しにくい。もっとも、近年は販売から資産管理・助言へのビジネスモデルの移行も進みつつあるものの、依然として独立的な立場から売却や解約の判断を行う枠組みが十分に浸透していないと考えられる。
結果として、日本では今回のような価格乖離も、解約や乗り換えという行動に直結しにくい。
