「どう考えても不公平です。」
そう言って私の事務所に乗り込んできたのは、明人さん(仮名)。机に叩きつけるように置かれたのは、亡くなった父誠也さんの遺言書だ。
まさか遺言書に書かれた一文が、兄妹の関係を決定的に壊すことになるとは、誠也さん自身は想像していなかっただろう。今回は、遺言書における何気ない一文の重要性について解説する。
2人の妹は金銭的支援を受けていた
亡くなった誠也さんには3人の子どもがいた。
・長男の明人さん
・長女の里奈さん
・次女の里穂さん
誠也さんは3人のことは全員しっかり愛していた。それは仕事でお世話になったことがある私には痛いほどわかる。
ただ、男女の違いによって、可愛がり方や方向性が異なったようだ。
その違いははっきりと「お金」にも表れていた。
その1つがマイホーム購入時の資金援助だ。昨年、里奈さんがマイホームを購入する際、誠也さんは600万円の援助を行った。
その話を聞いた里穂さんは、「お姉ちゃんだけズルい」と不満を漏らした。その結果里穂さんも最終的に400万円の援助を受けた。
一方で、長男の明人さんはどうだったか。公務員であることもあってか明人さんはお金には非常に堅実な性格。存分に支援を受ける妹2人と違い、社会人になって以降、一切の金銭的支援を受けていないのだ。妹2人の話を聞いても表立って不満を漏らしたりすることもなかった。
