将来の豊かな生活に向けて、資産形成への関心がかつてないほど高まっています。一方で、資産形成に既に取り組んでいる層とまだ取り組んでいない層との間で、将来的な資産状況に差が生じかねないという課題も見えてきています。1万人規模のアンケートから「投資を始めた人」と「踏み切れない人」の境界線を紐解き、資産形成と向き合うための視座をお届けします。
※本稿は、大和アセットマネジメント 資産運用普及センターが2026年3月に発行した「資産形成白書2026」から〔第3章|NISA未稼働口座の状況 第2節 アンケート調査にみるNISA未稼働口座〕を転載・再編集したものです。

第3章|NISA未稼働口座の状況
第2節 アンケート調査にみるNISA未稼働口座

「証券投資に関する全国調査」からNISA未稼働口座を探る

日本証券業協会は、アンケート調査である「証券投資に関する全国調査」を3年ごとに、継続的に実施している。この調査は投資している人だけでなく、投資していない人も含め広く一般に証券投資について聞いており、直近は2024年に実施されている。その中にNISA制度の利用・認知状況についての設問があり、回答結果は以下のようになっている。

NISA制度の利用・認知状況(2024年:調査時期は6~7月)

 

*「知らない」に無回答0.3%を含む

(出所)日本証券業協会「証券投資に関する全国調査」
 

これによると、NISA口座を開設しているのは「口座開設、投資あり」14.4%と「口座開設、投資なし」3.9%を足した18.3%となる。調査時点と同時期のNISA口座数は2,425万口座(2024年6月末時点、出所:金融庁)であり、また2024年10月1日時点の18歳以上人口は1億673万人(出所:厚生労働省)であることから、この時期の定量データから見たNISA口座開設比率は22.7%となる。アンケート調査の値は定量データの値より低いが、参考にはなろう。

アンケート調査の「口座開設、投資あり」と「口座開設、投資なし」の値から未稼働口座比率が計算できる。過去の調査も参照すると、その推移は以下のようになっている。

NISA口座の開設状況と投資実績の有無(2015年~2024年:3年ごと)

 

*調査時期は各年とも6~7月

(出所)日本証券業協会「証券投資に関する全国調査」
 

「口座開設・投資あり」と「口座開設・投資なし」の選択肢の文言を正確に記すと、前者が「NISA口座を開設し、NISA口座で投資している」であり、後者が「NISA口座を開設しているが、NISA口座で投資をしたことはない」である。これを素直に解釈するならば、これらから計算された未稼働口座比率は、「NISA口座を開設したものの、取引ゼロ・残高ゼロの口座の比率」と考えて問題なかろう。これならば未稼働口座という言葉の持つイメージに合致すると思われる。

その未稼働口座比率の推移は、低下傾向である。これは、先に見た金融庁公表データから得られた買付額ゼロ円口座比率の推移と方向性が一致している。アンケート調査に基づく2024年の未稼働口座比率は21.4%であり、2024年の買付額ゼロ円口座比率の38.0%を大きく下回っているが、例えば2024年は投資しなかったものの、2023年以前に投資し、残高があるケースなどを想定すれば、21.4%は十分に実態を反映した数値ではないかと考えている。