先行きについて
第1節では、新NISA制度の導入や、物価および金利の上昇といった資産形成を取り巻く環境の変化が、家計の金融資産構成に影響を与え、貯蓄から投資への動きが本格化しつつあることを指摘した。第2節では、年代別の動向を分析することで、近年は特に若年層で投資が積極化しており、その背景に賃金の改善が影響している可能性があることを指摘した。今後も個人の投資がさらに進むかどうかは、物価や金利がどのように変化していくかに加え、賃金の増加が継続していくかも重要と考えられる。
物価については、上昇傾向が続くとみられている。日本銀行の展望レポートによると、2026年度以降の消費者物価指数の前年比は、現在の3%前後から低下するものの、それでも2%程度で推移する見通しになっている。一方、金利については、日経QUICKニュース社が2025年12月に行った調査※5によると、日銀による今回の利上げ局面での政策金利の上限は2%に届かないと、8割を超える専門家が予想している。これらの見通しを踏まえると、預貯金がインフレで実質的に目減りする状況は今後も続く可能性が高いと考えられる。
また、賃金については、引き続き若年層を中心に改善が続くとみられる。短観(2025年12月)の雇用人員判断DIを見ると、1980年代のバブル期並みの「不足」超となっており、企業における人手不足は深刻化している。このため、企業は人手確保のために賃上げを継続し、その恩恵は少子化により人口が少ない若年層が引き続き主に享受すると考えられる。
こうした物価や金利、賃金の先行き見通しを踏まえると、今後も若年層を中心に貯蓄から投資への動きが進むことが予想される。投資が多くの家計にとって、より身近になることを期待したい。
※5.金融政策を分析する「日銀ウオッチャー」29名を対象にしたアンケート調査。回答期間は12月3~8日
