若年層における投資の積極化に関する考察
第1節では、貯蓄から投資へが進む背景として、新NISA制度の導入や物価および金利の上昇といった要因が考えられることを指摘したが、これらが影響を与えるのは若年層に限るものではない。では、20~30代の若年層が投資を積極化している背景には他にどういった要因が考えられるだろうか。ここでは賃金の増加が投資を後押ししている可能性について考える。
「賃金構造基本統計調査」によると、近年賃金は若年層を中心に増加している。年代別にみると、ここ5年で20代は10%程度、30代は8~9%ほど賃金が増加しているが、40代以上は平均6%程度の増加にとどまっている。我が国では、出生数の減少が続いたことで若年層の人口が少なく、これが若年層の賃金が改善されている背景にあるとみられる。
年代別にみた賃金(2024年)
*企業規模10人以上。所定内給与。2019年=100として指数化
年代別の就業者数(2024年)
ここで、当社のアンケート調査を用いて、実際に若年層における賃金の改善が投資につながっているのか探っていく。当社のアンケート調査では、投資初心者(2020年以降に投資を始めた者)が投資資金をどのように確保しているかについて調査を行っている。
グラフを見ると、年代ごとにはっきりと特徴が出ている。50代や60代では「預貯金を投資資金に振り替えた」という回答が多い一方、年代が若くなるほど「収入が増えた」、「支出を減らした」、といった回答をする割合が増えており、20代では、「収入が増えた」と「預貯金を投資資金に振り替えた」の回答がほぼ同じ割合となっている。
さらに、「収入が増えた」と回答した者について、どのような理由により収入が増えたかについても調査を行った。収入が増えた要因を年代別にみると、若年層は「賃上げ・昇進(本業)」の回答比率が高く、年代が上がるほど「投資の利益(値上がり益、配当金など)」の比率が高まっている。これらより、若年層は賃金の改善が投資につながっていると考えられる。
投資初心者は投資資金をどのように確保したか(複数回答可)(2025年)
*投資初心者とは、2020年以降に投資を開始した個人を指す
投資初心者の収入増加の要因(複数回答可)(2025年)
*投資初心者とは、2020年以降に投資を開始した個人を指す




