「投資家への壁」を低くする方法
以上から、第1章のまとめとして「投資家への壁」を低くする方法を4点挙げたい。
第1に、パーソナリティの神経症傾向が高い人は、自分がそういう傾向であるということと、そのため自分は「投資家への壁」を高く感じやすいかもしれないということを認識しておく必要があろう。投資に限ったことではないだろうが、心構えが違えば、行動も違ってこよう。
第2に、パーソナリティの神経症傾向が高い人は特にそうだが、それ以外の人も含め、投資による利益を大きくしようと思えば、自分でコントロール可能な「投資金額」や「投資期間」を重視する必要があろう。「投資対象の収益性」を過度に重視すると、自分の短期的なリスク許容度を超えてしまうケースが懸念される。そうなると、『投資に関心のある未投資者』が投資に踏み切れなくなるのはもちろん、『投資初心者』であっても投資から離脱し、未投資者に戻ってしまうかもしれない。
第3に、金融リテラシーは投資を始める前にすべて習得しなければならないものではなく、投資を始めてから習得しても良いということを意識しておく必要があろう。「習うより慣れろ」は、投資に関してもある程度当てはまる。金融リテラシーの習得が不十分で不安だと感じるならば、「投資金額」を小さくする、「投資期間」を長くする等、リスクを控えめにする選択肢もある。
第4に、投資を始めると、お金の使い方がありたい姿に近づくということも認識しておく必要があろう。投資をしていない人は、将来を重視したお金の使い方をしたいと思うほどには、それを実現できていないが、投資にはそのギャップを埋める効果があるようだ。
最後に、金融関係者など投資家の裾野拡大を図る者は、投資に関心のある未投資者がパーソナリティにおいて協調性と神経症傾向が高い傾向にあることを理解しておくべきだろう。特に神経症傾向が高い人は不安を感じやすいため、「将来への不安」に対処するための資産形成ニーズがむしろ強いかもしれない。しかし同時に「投資家への壁」も高いと感じているだろう。そうした人々が取り残されることなく将来に向けた資産形成を行えるように、金融関係者は不安の源泉と対処方法を示す必要があろう。それとともに投資啓蒙にあたっては、過度に不安を煽らず、読み手・聞き手が理解する際の負担を減らすようなコンテンツのストーリーやサービスの設計など「伝え方」の工夫が求められているのではないだろうか。
投資に興味・関心を持った最大のきっかけ
*投資初心者(神経症傾向が高い):n=1,274、投資関心あり&未投資者(神経症傾向が高い):n=2,855

