将来の豊かな生活に向けて、資産形成への関心がかつてないほど高まっています。一方で、資産形成に既に取り組んでいる層とまだ取り組んでいない層との間で、将来的な資産状況に差が生じかねないという課題も見えてきています。1万人規模のアンケートから「投資を始めた人」と「踏み切れない人」の境界線を紐解き、資産形成と向き合うための視座をお届けします。
※本稿は、大和アセットマネジメント 資産運用普及センターが2026年3月に発行した「資産形成白書2026」から〔第1章|アンケート調査から読み解く「投資家への壁」第2節「投資家への壁」を低くする方法を探る〕を転載・再編集したものです。

第1章|アンケート調査から読み解く「投資家への壁」
第2節「投資家への壁」を低くする方法を探る

経験を積むことで高まる金融リテラシー

本アンケート調査では『投資初心者』に対して、投資を始める際にあった投資に対する抵抗感や障壁についても聞いている。また、『投資に関心のある未投資者』に対しては、まだ投資を始められていない理由について聞いている。結果は、両者ともに1位は「投資に関する知識が不足している」で差は見られなかった。

投資を始める前の抵抗感・障壁/投資をまだ始めていない理由

 
 

*複数回答可

(出所)大和アセットマネジメント
 

一方、『投資初心者』と『投資に関心のある未投資者』に対して、金融リテラシーについて聞いたところ、「複利計算」の設問で正答率に大きな差(22.1ポイント)が見られた。資産形成に関する情報提供では、長期・積立・分散投資の説明がされることが多いが、『投資に関心のある未投資者』では「長期投資」のメリットに含まれる「複利効果」への理解が不十分なようだ。

金融リテラシーに関する設問の正答率

 

*金融リテラシーに関する設問文は、データ編の12を参照

(出所)大和アセットマネジメント
 

複利効果とは、運用で得た利益を当初の元本にプラスして再び投資することで、利益が利益を生んでいく効果のことを指す。しかし、株式や投資信託等での運用は、予め利率(収益率)が定まっているわけではないため、利率が高かった頃の定期預金などのように、複利効果を目に見える形で実感することは難しかろう。このことが、複利を理解しづらくする要因の1つと考えられる。

こうした複利効果の分かりづらさを解きほぐすような情報を『投資に関心のある未投資者』に対して重点的に提供することが、『投資初心者』と『投資に関心のある未投資者』の金融リテラシーのギャップを埋めるのに効果的といえよう。

また、投資信託の保有本数別に金融リテラシーに関する設問の正答数を見ると、保有本数が増えるにつれて正答数が多くなる傾向が見られた。保有を検討した商品数、投資判断の回数等が増えることで、自ずと投資に関する知識が身に付いたと考えることもできそうだ。この結果から、投資を始める前に金融リテラシーを身に付けるだけでなく、投資を始めてからも金融リテラシーを高めることができると、投資を始める前に認識しておくことが「投資家への壁」を低くする対処法の1つといえるだろう。

投資信託保有本数別の金融リテラシーに関する設問の正答数

 

*n=2,362

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