3. 予算編成の見直しと家計支援

一方で、投資を加速させるためには、お金の使い方のルール、つまり『財政ルール』も見直さなければならない。

これまでの日本の財政運営は単年度主義で、補正予算に依存する傾向が強かったが、これでは長期的なプロジェクトが描きにくいという欠点があった。そこで高市政権では、補正予算を当初化するとともに、複数年度予算や長期的な基金を活用し、投資の予見可能性を高めようとしている。

そこで強調されるのは、野放図に使うわけではないということである。無駄な補助金の見直しなど、行政改革を徹底し、財政の持続可能性は確保する。その上で、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げるための明確な指標を設定しようとしている(図表4)。

 

 

 

また、国民生活に直結する『家計支援』も重要視している。具体的には、主要国よりも高水準にある飲食料品の時限的な消費税引き下げ(図表5)、そして、諸外国より手薄な低所得者向けの支援を強化すべく『給付付き税額控除』への段階的移行を検討している(図表6)。本当に支援が必要な層へ手厚く、より精度の高い支援を届ける仕組みへと進化させていくことを目指している。

4. アベノミクスとの違い

最後に、関心が多く集まる『アベノミクスとの違い』について明確にする。

かつてのアベノミクスは、金融緩和・機動的な財政・成長戦略の『3本の矢』で、需要を喚起し、デフレ脱却することに重点を置いてきた。

 

 
 

 

対するサナエノミクスは、そこから一歩進んだ『責任ある積極財政』である。つまり、需要喚起というよりも、官民協調による戦略的な投資によって『供給力、すなわち潜在成長率』そのものを高めることに主眼を置いている。

投資が成長を生み、その成長がさらなる投資を呼ぶという『好循環』を、今回こそ定着させるのが狙いである。

以上の内容が、今回国会の施政方針演説や、経済財政諮問会議の議論を集約した内閣府資料の補足解説である。日本が再び世界をリードする経済大国として再興するため、この『サナエノミクス』の実行力が今、問われているといえよう。

<参考資料>

令和8年第三回経済財政諮問会議配布資料1-1(内閣府)