1. 日本経済の現状認識
本稿では、現在の高市政権が掲げる経済政策、いわゆる『サナエノミクス』の全容について、3月26日に開催された内閣府の経済財政諮問会議における配布資料を基に、補足的に解説する。
まず、高市政権が直視している『基本認識』についての説明である。日本には、世界に誇る技術革新力や労働の効率性という素晴らしい底力がある。その傍証として、日本経済の潜在成長率を要因分解すると、全要素生産性の伸びは健闘している。しかし、長年、国内投資の不足と労働時間の減少によって、その潜在成長率は低迷したままである(図表1)。
この停滞の要因は、過度な緊縮志向と未来への投資不足、行き過ぎた労働時間規制の強化である。高市政権はここから完全に脱却し、国が自ら一歩前に出ることで、民間の投資を力強く呼び込むことを宣言している。
2. 危機管理投資と成長投資
そして、具体的な投資の方向性について、柱となるのは『危機管理投資』と『成長投資』の二段構えとなる(図表2)。
まず危機管理投資とは、単なる守りではなく、経済安全保障、食料・エネルギー自給、国土強靱化、サイバーセキュリティなど、国民の命と暮らしを守るためのリスクを最小化する投資となる。
一方で成長投資では、AI、スタートアップ、量子技術、そしてそれらの社会実装や海外展開を全面的にバックアップすることを目指す。
こうした方向性に向けて官民がタッグを組み、設備投資の優遇税制などにより戦略的に国内投資を促進することで、雇用を創出し、国民の所得、そして生産性を底上げしていく。これがサナエノミクスのエンジンとなる。