政府は4月1日、将来の年金受取額を試算できるツールとして公開している「公的年金シミュレーター」について、iDeCoと障害年金に対応するなど機能を拡充した新バージョンの試験運用を始めました。受託事業者である日立製作所は、資産形成だけでなくその取り崩しに対する関心の高まりを受け、資産の増え方だけでなく「減り方」についても分かりやすく表示するページを追加したとしています。ただ実際に使用してみて筆者が抱いた“素朴な疑問”は…。
障害の程度に応じ試算できるように
1日に運用を開始した新バージョンでは、iDeCoと障害年金の試算機能が追加されました。
iDeCoの専用画面ではまず、職業(「会社員」、「自営業・フリーランス」などから選択)、国民年金保険料の賦課納付の有無、国民年金基金の加入有無、毎月の掛金額、拠出予定期間(何歳から何歳までか)、想定の年率利回り(0%、1%、3%、5%から選択。10%までの範囲で手動入力も可)、受取開始年齢などを入力。すると、想定通りに運用が進んだ場合の積立元金と運用益の推移、最終的な資産額がグラフで表示されます。
運用成績が上位16%に入った場合と、下位16%になった場合の資産額の振れ幅も、「低い ××万円 高い ××万円」という具合に教えてくれます。
受取見込額については、運用しながら分割して受け取る有期年金か、一括で受け取る一時金かを選択し、受給年数などを設定すると、毎年の受取額が棒グラフで表示されます。運用成績が上位16%、下位16%となった場合の変動についても線グラフに落とし込み、受け取りを開始した後の資産の減り方についても別途、グラフ化してくれます。
障害年金は、初診日時点の加入制度(「わからない」(基礎年金と仮定)、国民年金、厚生年金から選択)、障害の程度(1級~3級)、家族構成(子供の人数や障害の有無)を入力すると、見込額がグラフで表示されます。
筆者がiDeCoの試験運用画面を実際に操作してみると、1~2分程度で試算結果が表示されました。「簡単に」というわりに入力が必要な項目は10個以上あり、多少面倒な印象も否めませんでしたが、これはシミュレーターの設計のせいというより、制度自体の複雑さのせいと言うべきなのかもしれません。
3月17日に厚生労働省が開いた第22回年金広報検討会では、受託事業者の日立製作所の担当者が登壇。賦課方式である公的年金と違って積立方式であるiDeCoを同じシミュレーターで扱いつつ、制度が入り組んでいる障害年金を含め、利用者ができるだけストレスなく試算できるよう工夫したと説明。また、開発過程での調査では、「取り崩し、資産寿命についても関心の高さがうかがわれる結果となり、どれだけお金が貯まるかに加え、貯まったお金で老後をどう過ごすかを可視化することが大事と考え、(受給見込額と取り崩しの)二つの見方を採用した」と話していました。

