自立のつもりが結局は…
「麻紀、あなた、そんなにお金使ってたの?」
「家賃安いし、給料も入るし……ちょっとくらい大丈夫だと思って」
「だから、貯金使い切ったの?」
責めているというより、信じがたい事実を確かめる声だった。それが、かえってつらかった。
「必要なものばっかりだったし、まさか事故に遭うとは思ってなくて……」
「それはそうでしょうけど、無計画に散財していいわけじゃないでしょう」
返す言葉が出てこなかった。自分でも、その通りだと思っていたからだ。
やがて母は小さく息をつき、鞄から取り出した封筒を置いた。
「生活費の足しにしなさい」
麻紀はそれを見たまま、しばらく動けなかった。
「……いいの?」
「だって足りないんでしょう、お金。遠慮せずに受け取りなさい。それに、もともとお見舞いは渡すつもりだったし」
「ありがとう……お母さん……」
「あとで、お父さんにもお礼言うのよ」
やっと干渉されずに済むと思って始めた新生活。自分で暮らしを作っていくつもりだったのに、結局は親に支えられている。封筒を受け取った瞬間、骨の折れた右足に鈍い痛みが走った。
