企業からの退職・転職時は?
企業型DCに加入している人が会社を退職したり転職したりする場合、その資産をiDeCoに移すことができる。ただし、この移換は自動的に行われるわけではなく、自ら手続きを行う必要がある。わからない点は会社の担当者に相談しながら進めよう。
手続きの大まかな流れは、まずiDeCoの口座を開設する金融機関を選ぶことから始める。次に、選んだ金融機関で「個人別管理資産移換依頼書」などの必要書類を入手して提出する。金融機関によってはウェブ上で申し込みができる場合もある。
その際、iDeCoの加入者として新たに掛金を支払うか、それとも運用指図者として企業型DCから移換した資産の運用のみを行うかを選択する。資産の移換には申し込みから1~3カ月程度かかる。移換が完了したら、運用商品や掛金額(加入者の場合)を決めて運用を開始する。
手続きには退職後に送られてくる書類が必要となる。「確定拠出年金 加入者資格喪失手続完了通知書」や「確定拠出年金 加入者資格喪失のお知らせ」といった書類が退職後1週間から1カ月半ほどで送られてくるので、紛失しないよう注意が必要だ。
また、これらの手続きは退職月の翌月から6カ月以内に行わなければならない。期限を過ぎると資産が自動的に国民年金基金連合会に移換され(自動移換)、資産の運用ができないまま管理手数料がかかり続けるなどのデメリットが生じる可能性があるため、早めの対応が望ましいだろう。
なお、転職先に企業型DCの制度がある場合は、そちらの口座に移換することも可能だ。その際は転職先の担当者に相談しながら進めよう。
自分に適した選択をするために
企業型DCとiDeCoの併用は、多くの場合において可能である。ただし、企業型DCのマッチング拠出を利用している人はiDeCoと併用はできないという重要な例外がある。マッチング拠出の制度改正により、企業型DC一本で運用を進める選択肢も考えられるようになった。
ただ、企業型DCは会社の負担で掛金や口座管理手数料などが賄われる福利厚生制度であり、口座を開く金融機関は自分で選べないといった制約もある。一方、iDeCoは個人が主体となって金融機関を自分で決めて資産運用を行う制度である。それぞれの特性を理解した上で、自分の状況に合った選択をすることが重要である。
確定拠出年金は老後資金を準備するための選択肢の一つであり、それぞれの制度の仕組みと制約を正しく理解することで、より適切な判断ができるようになる。自分がどの制度を利用できるのか、どの選択が自分の状況に合っているのかを確認することをお勧めする。
