併用できる場合とできない場合の境界線

現在の制度では、企業型DCに加入している人でも、企業の規約内容にかかわらずiDeCoに加入できるようになっている。しかし、すべての人が併用できるわけではない。主な例外が「マッチング拠出」を利用している場合である。

マッチング拠出とは、企業型DCにおいて企業側が負担する掛金に対し、従業員側からも掛金を上乗せできる制度である。この制度を利用している人は、iDeCoとの併用ができない。

注意が必要なのは、会社でマッチング拠出制度が導入されているかどうかではなく、自分自身がマッチング拠出を利用しているかどうかが判断基準となる点である。会社にマッチング拠出制度があっても、自分が利用していなければiDeCoとの併用は可能だ。自分がマッチング拠出をしているかどうかわからない場合は、企業型DCの個人ページや勤め先の人事部などの担当部署に確認するとよいだろう。

それぞれの制度が持つ特性の理解

企業型DCとiDeCoは、どちらも確定拠出年金という枠組みに含まれる制度だが、その運営主体や費用負担、選択できる金融機関など、様々な点で違いがある。

企業型DCは会社の福利厚生として提供されるため、掛金のほか口座管理手数料などを会社が負担してくれる点が最大の特徴である。従業員は追加の費用負担なしに老後資金を準備できる。ただし、運用商品の選択肢は会社が契約している金融機関によって決まり、個人が自由に金融機関を選ぶことはできない。

一方、iDeCoは個人が主体となって加入する制度であり、掛金も口座管理手数料なども自己負担となる。その代わり、口座を開設する金融機関を自分で選べるため、自分に合った運用商品ラインアップを持つ金融機関を選択できる柔軟性がある。

併用する場合、これら2つの制度の特性を理解した上で、それぞれをどのように活用するかを考える必要がある。企業型DCは会社の負担で運用できる資産形成の基盤として活用し、iDeCoは追加で自分の判断により積立額を増やす手段として位置づけるという考え方もできる。

●iDeCoと企業型DCの併用ができないパターンが「マッチング拠出」をしている場合。どちらを選ぶべきか?後編『「やめてまで加入する価値があるか…」マッチング拠出/iDeCo…老後資金準備の選択肢を比較』にて詳説する。