関税違憲判決の影響と今後の注目点

予てより、違憲判決が出された場合、ドル安が進むと予想していました。そこで為替相場のほか各マーケットの動きを見てみましょう。ドル指数に関しては小幅に下落したものの、ほぼ横ばいです。米国の株式相場や債券相場はどちらもむしろ上昇しています。

また、政府の財政に対する懸念度合いを示すタームプレミアムやCDSのスプレッドを見ても概ね横ばい圏で推移しました。恐怖指数とされるVIX指数も小幅に低下しています。結局、市場はこれまで受け取った税収をすぐに返還するわけではなく、ほかの法的根拠をもとに関税も続くとみていると考えられます(スライド4)

 

違憲判決に関する今後のポイントや注目点をまとめました。

まずは今回最高裁が示さなかったこれまでの税収に関する扱いです。今後、下級審で改めて審議されることになりますが、トランプ大統領の発言にみられる通り、これには数年単位の時間を要する可能性があります。また、トランプ政権は1800件以上もの返還訴訟を起こされています。関税そのものが違憲とされた以上、今後返還を命じる判決が続く可能性も十分です。

マーケットに関しては引き続きCDSやタームプレミアムの動向に注目です。昨年の春はトランプ減税の恒久化に伴い予想される財政悪化への懸念からCDSのスプレッドが拡大し、それとともにドル指数が下落しています。その他、格付け会社の判断も重要です。

例えばS&Pは昨年8月、アメリカの格付けを「AA+」、見通しも「安定的」で据え置きましたが、その際の大きな根拠となったのが関税だったからです。総じてみれば、関税に違憲判決が下されたことは潜在的なドル安材料として認識しておく必要があるでしょう(スライド5)。