3年連続で上昇したエンゲル係数

経済的なゆとりを示す「エンゲル係数」が足元で高水準にある。特に二人以上世帯では2024年に28.3%まで上昇したものが、2025年には28.6%まで上がっている(図表1)。

 

 

 

エンゲル係数は家計の消費支出に占める食料費の割合であり、食料費は生活する上で最も必需な品目のため、一般に数値が下がると生活水準が上がり、逆に数値が上がると生活水準が下がる目安とされている。

食料品の相対価格上昇によるエンゲル係数押し上げを消費性向上昇が抑制

エンゲル係数は、家計の消費支出に占める食料費の割合とされているが、その変動には、いずれも数量と価格が関係している。つまり、消費者物価(総合)に対して相対的に食料品価格が上昇すれば、エンゲル係数の押し上げ要因となる一方で、相対的に食料費以外の支出抑制もエンゲル係数の押し上げ要因となる。

また、分母の消費支出は可処分所得と平均消費性向、すなわち家計が自由に使える所得と世帯の消費意欲に分解できる。そして、可処分所得は実収入、すなわち世帯の現金収入を合計した税込み収入に左右される一方で、非消費支出すなわち税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出にも左右される。従って、こうした要因に分解すれば、エンゲル係数がなぜ上昇したかを分析できる。

 

 

 

そこで、可処分所得のデータが取れる勤労者世帯のエンゲル係数の変化幅を、食料品の消費量すなわち実質食料支出と相対価格、および全体の消費性向と実質実収入、非消費支出に分けて要因分解してみた(図表2)。すると、食料品の相対価格や実質実収入および税金や社会保険料等の非消費支出がいずれも押し上げに働く一方、消費性向の上昇が▲1.2ポイントと大きく押し下げ要因になっていることが分かる。

 

 

 

消費性向、すなわち可処分所得に対する消費の割合が上がった背景には、前年に定額減税があった反動で可処分所得の増加ペースが鈍化したにもかかわらず、株の資産効果や一部消費者のデフレマインド緩和などに伴い節約志向が緩まったことが推察される。一方、食料品の相対価格上昇の背景には、米類の価格高騰などで相対的に食料品価格の値上がりが、物価全体を上回ったことが考えられる。つまり、相対的に高まった食料品価格の上昇や実質可処分所得の減少にもかかわらず、資産効果やデフレマインド緩和に伴う家計の節約志向の緩和が、昨年のエンゲル係数上昇を+0.3ポイント程度に抑制したのが実体である。