事故の知らせに動揺

「汐里だ」

孝の言葉に美紀子は慌てて駆け寄る。孝は携帯を耳に当てて電話に出た。

「もしもし、……え? ……そうなのか? うん、うん、分かった。今から行くよ」

孝の反応を聞いて胸が押しつぶされる思いだった。明らかに何かあったのだ。

「……どうしたの?」

「どうやら汐里たちが乗っていた車が事故に遭ったらしい」

「……え? え? 車? どういうこと…⁉」

事故という言葉を聞いた瞬間に美紀子の視界は真っ白になった。旅行先には電車で向かったはずだ。まったく知らされていない状況に、美紀子はパニックになる。

「美紀子、とりあえず今すぐに病院に行こう。まずはそれからだろ」

「う、うん。そうね…」

孝になだめられ、落ち着きを取り戻した美紀子はすぐに汐里がいる病院へと向かった。

   ◇

美紀子が看護師に連れられて処置室に入ると、そこには暗い顔の汐里の姿があった。

汐里の腕には包帯が巻かれていたがそれ以外に深い傷はなさそうだった。安堵しながらも美紀子は眉間にしわを寄せて汐里を見た。

「……事故ってどういうことなの?」

「……友達がカーブの時に曲がりきれずにガードレールにぶつかったんだよ。それで私は後部座席に座ってて腕をドアにぶつけちゃったの」

汐里が説明すると間に孝が入ってくる。

「でも大けがにならなくて本当に良かった。お友達とかは大丈夫なのか?」

「うん。みんな大けがとかはなかったよ」

「車は? レンタカーで事故って聞いたけど」

汐里は包帯を押さえながら答えた。

「ちゃんと保険を申請して警察に通報したりとか手続きをちゃんとしてたから保険が適用されるみたいよ。もちろん何もなしってわけじゃないけど7万くらいを払えば問題ないって。みんなで割り勘する予定」

汐里たちの命も事故自体も、大事には至っていないと分かり、美紀子は胸をなでおろした。