母親の再婚相手は酒乱だった

38歳の福田美紀さん(仮名)の母も再婚していました。

血のつながらない父は、酒を飲むと暴れる人だったそうです。
そのため、美紀さんの結婚相手の第一条件は「お酒を飲まない人」でした。

ある日、職場で男性上司に強く叱責されます。大きな声で注意されたことをきっかけに、会社へ行けなくなってしまいました。婚活も休会に。

数か月後、体調が回復し、仕事にも婚活にも復帰しました。しかし、その出来事が「パンドラの箱」を開けてしまったのだといいます。

パンドラの箱とは、「開けてはならない災いが詰まった箱」の物語に由来し、触れてはいけない記憶や問題を象徴する言葉です。美紀さんにとっては、酒乱の父の記憶こそがその箱でした。

普段は穏やかで背も高く、見た目も良い人でしたが、酒を飲むと怒り出し、暴れる。毎晩酒を飲んで帰宅し、家でもさらに飲んでいたそうです。

父が怒り始めると、美紀さんは部屋に隠れ、息を殺して嵐が過ぎるのを待ちました。見つかれば怒鳴られるからです。その恐怖が、上司の叱責と重なり、幼い頃の記憶が一気によみがえったのです。

中学生のときに両親は離婚。それ以降、父とは会っていません。母との生活は穏やかで、記憶も薄れていました。女子校、女子短大、美容系の職場と、女性に囲まれた環境で生きてきたため、男性から強く叱られる経験も少なかったのです。

だからこそ、上司の言動によって記憶が蘇り、苦しくて動けなくなってしまいました。