2026年、3つのリスク要因とは?

――2026年のマーケット展望は?

日本の長期金利(10年物)は、短期金利、景気指標、インフレ率、日銀の国債買入れなどによって推計すると、2026年は2%台が普通に出てくる。過去における政策金利と10年金利とのスプレッドを見ても、現在と似たような環境では1.3%程度であり、政策金利の0.75%に1.3%を足せばその時点ですでに2%程度が想定でき、政策金利が1.0%になれば10年金利は2%台半ば、場合によっては後半が想定される。日経平均株価は5万円台後半に向けて上昇して行くと予想している。

リスクは3つ。1つ目はインフレが予想以上に上振れるリスクである。高市政権による「責任ある積極財政」(財政支出を使った高圧経済政策)が予想以上にインフレを高めることになれば、長期金利がその分上振れ、景気に悪影響が出かねない。

2つ目は、財政リスクを意識して長期金利が不規則に跳ね上がるリスク。日本の財政が破綻するとは見ていないが、債券市場が過度に財政リスクを意識して一時的にでも需給バランスが崩れれば、長期金利が跳ね上がる可能性はある。

3つめが米国株価の調整。個人の金融資産に占める株式の割合がITバブルのころを大きく超えて拡大する中、一時的な調整局面が生じるリスクには注意しておきたい。

楽天証券経済研究所
チーフエコノミスト
愛宕 伸康氏

 

神戸大大学院経済学研究科修了後、1991年日本銀行に入行。政策委員会審議委員スタッフ、物価統計課長、日本経済研究センター主任研究員(チーフフォーキャスター、出向)、横浜国立大学派遣講師、人材開発課長などを歴任。岡三証券チーフエコノミスト、いちよし証券上席執行役員チーフエコノミスト(東京財団政策研究所主席研究員なども兼任)を経て、2023年10月より現職。著書に『日本経済 30の論点』(日本経済新聞出版、共著)等。