日銀「緩やかな利上げ」継続、そのぺースの焦点は?

――2026年の日本経済の見通しは?

2026年の日本経済は、高いインフレが持続するもとでも、名目賃金が高い伸びを維持することによって緩やかな拡大を続けるとみている。雇用環境が崩れず、かつ名目賃金が上昇している環境下で日本経済が景気後退に陥ったことはこれまでない。日本銀行は緩やかな利上げを続けるだろう。2025年12月の金融政策決定会合で0.25%の利上げを実施した結果、政策金利は0.75%になった。将来的には、物価安定の目標2%が持続的・安定的に実現したと判断できる段階で、1.5%程度まで政策金利が上がっていることを想定している。

ただし、そこに到達するまでの利上げペースについては、次の2つの要因が大きく影響するだろう。1つは中立金利の水準である。日銀にとっても中立金利が何%程度かは重要で、現在「1.0%~2.5%」との言い方をしているが、FRBと同様、そのうち景気・物価に対する影響を慎重に見極めながら政策金利の適切な居所を探る段階に入って行く。政策金利を1%にするまではこれまでの半年に1回ペースを維持し、次回利上げは6月か7月と想定している。しかし、それ以降は判断が慎重化してペースが鈍るだろう。

2つ目は為替である。円安が過度に進めばコストプッシュ型のインフレを助長する。日銀は原則として為替を直接の理由に政策変更はしないが、1ドル150円台後半より円安になるようであれば利上げを実施する可能性が高まる。こうした為替要因も利上げペースに大きな影響を及ぼすとみている。