米国の次回利下げはパウエル議長退任後の6月か
――2026年の世界経済の見通しは?
2026年の世界経済の成長率見通し(IMFベース)は3.3%(2024年3.3%、2025年3.2%)を見込んでいる。2026年の米国実質GDPは前年後半の高成長によるベース効果から、2.0%を超える成長が見込まれる。
FRBでは、雇用情勢に悪化の兆しが見られることから2025年9月以降3回続けて利下げを実施した。その結果、現在の政策金利(FF金利の誘導目標)は3.5%~3.75%になったが、パウエル議長は「中立金利の推定の範囲内に入ってきた」と述べ、今後は経済・物価への影響を慎重に確認しながら利下げの是非を判断する構えを強調している。
中立金利とは、景気に対して緩和的でも引き締め的でもない政策金利のこと。実際には観察できない概念上の金利であり、推計方法によって結果にばらつきがあるため、金融政策実務においては、実際の経済・物価の反応を確認しながら探るしかないというのが現実だ。
現在のFRBの中立金利に対する見方を、金融政策を決定する米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者19人の見通しの中央値で見ると3.0%。しかし、その不確実性は極めて高く、2026年の金融政策運営はかなり慎重なものになることが予想される。次回利下げは、今のところパウエル議長が退任した後の6月になるとみている。
