<前編のあらすじ>
WEB関係の個人事業主として働く里菜さん(仮名、31歳)。元々は扶養に入っていましたが、仕事が軌道に乗ったことで夫の扶養から外れ、国民年金第1号被保険者となりました。
今年に入って出産を控えていた里菜さんは、直前まで仕事を続け、5月30日に男の子を出産。しかし仕事復帰後、育児と仕事の両立の大変さに直面します。「収入は減り、支出は増える……」と悩む里菜さん。国民年金保険料の負担も気になり市役所の窓口を訪ねたところ、職員から「産前産後免除制度」の対象になることを告げられました。
●前編:産後の収入減で国民年金保険料「月1万7510円」が負担に…31歳フリーランス女性が見つけた「意外な救済制度」
里菜さんが対象になった産前産後免除制度とは
20歳以上60歳未満の自営業者やその配偶者など、国民年金第1号被保険者は国民年金保険料を毎月納付する必要があります。しかし、収入が少なく、経済的に保険料の納付が難しい場合は免除や猶予を受けることができます。そのような中で、第1号被保険者の女性で出産をする場合の国民年金保険料産前産後免除制度が2019年4月から始まっています。
これは出産という事実があれば受けられる免除制度で、「出産日または出産予定日」の前月以降4カ月間(多胎妊娠の場合は、出産日または出産予定日の3カ月前以降6カ月間)の国民年金保険料が免除になります。出産する人を対象とした免除なので、たとえ同一世帯で収入が多い人がいても、届出が遅くなっても、出産する人は届出をすれば対象になります。
そして、産前産後免除期間の対象となった場合、免除という名前ではあるものの、当該期間は保険料を納付した扱いとされます。そのため、将来の老齢基礎年金についても、保険料納付済期間でその額が計算されることになります。通常の免除や猶予を受けた場合は保険料免除期間となり、将来の老齢基礎年金もその分減額されますが、産前産後免除では減額もありません。
