新井美佳さん(仮名)は中学校の教師。安定した職業に加え、優しい夫とかわいい娘に恵まれ、さらには自分の両親と二世帯住宅に同居する羨ましい環境です。しかし、新井さんは、「外からはそう見えるかもしれないけれど、全然違うんです」と言います。

新井さんには2歳上のお姉様という「目の上のタンコブ」的な存在がいるからです。東京大学を卒業し官僚になったお姉様は先輩と結婚し、今や姉妹の年収格差は2倍に拡大。都内のタワーマンションに住んでボルボに乗り、高級品やブランド志向を隠そうともしない姉一家は新井さんにとって目障り以外の何物でもないのだとか。

苛立たしいのは小学5年生の娘がそんな姉の影響を受け、姉と同じ私立を受験したいと言い出したことです。「ひとり娘だし、子供と過ごす時間を大事に、手をかけて育ててきたつもりなのに。世の中やっぱりお金なんですかね」。姉妹格差について、新井さんの率直な気持ちを伺いました。

〈新井美佳さんプロフィール〉
埼玉県在住
35歳
女性
教師
両親、夫、小学生の娘と二世帯住宅に居住
金融資産800万円(世帯)

中学時代に逆転した姉妹の立場

私は12月生まれです。子供の頃は、誕生日、クリスマス、お正月と続く年末は1年の中でもとびきり楽しい季節でした。しかし、今となっては、年末は頭痛の種でしかありません。姉一家が帰省してくるからです。

2歳上の姉との“格差”を意識するようになったのは中学時代。姉は子供の頃から優秀でしたがどこか人を寄せ付けないようなところがあって、友達も数えるほどでした。それに対し、私は人好きな性格で常にクラス委員に選ばれていましたし、小学校の卒業式では卒業生を代表して答辞のスピーチをしたこともあります。

しかし、姉が高校受験に際して地元の高校ではなく都内の有名私立校に行きたいと言い出し、猛勉強の末に合格した辺りから、私たち姉妹の立場は逆転しました。

姉は高校でも周囲の秀才と切磋琢磨し、国内トップの大学への進学を果たしました。そして、卒業後は国家公務員1種に合格して今やキャリア官僚です。

我が家は父が地元の食品会社に勤務する会社員、母がパートというごく普通の家庭。ですから、姉はまさに「出藍の誉れ」で、両親のみならず、父方、母方の親戚中の自慢の種というわけです。