物価上昇の影響? お金の悩みや不安が増加傾向に
この傾向は継続しているのだろうか。過去5年間の推移を振り返ってみよう。
悩みや不安の内容(参考表)
出所:「国民生活に関する世論調査(速報)」(内閣府)よりFinasee編集部作成(その他、無回答除く)
2021年から2025年まで5年間の悩みや不安の推移を見てみた。調査結果によると、最も増加が著しいのは「現在の収入や資産について」(41.0%から47.9%、6.9ポイント増)。次いで「老後の生活設計について」(58.5%から64.1%、5.6ポイント増)、「今後の収入や資産の見通しについて」(55.0%から60.4%、5.4ポイント増)と続く。お金に関わる悩みや不安が増加率で上位を占めている。
この間には物価上昇が本格化しているが、賃上げが物価上昇に追いついていないことで、個人消費のマインドが冷え込んでいるという指摘もある。
一方で2023年には賃上げ率も1994年以来29年ぶりに3%を超えた。2024年は5.33%、2025年も5.52%を記録するなど、賃上げにも明るい兆しがみられる。
物価上昇で忘れがちだが、日本は長年にわたって商品やサービスが売れず、経済全体で物価が下がるデフレに苦しんできた。雇用環境も厳しく就職氷河期といわれた時期もあったが、今は人手不足による空前の売り手市場。よい人材を獲得し、つなぎとめるために待遇改善も進んだ。
物価上昇も決して悪い面だけではない。持続的な賃上げを伴った物価上昇につながれば、お金に関する悩みや不安も少しずつ解消していくのではないだろうか。
<調査概要> 調査名/「国民生活に関する世論調査」(速報) 調査主体/内閣府 調査時期/令和7年8月7日~9月14日 調査対象/全国18 歳以上の日本国籍を有する5000 人(回収数2729 人)調査方式/郵送法

