各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、野村證券のデータをもとに解説。
野村證券の投信売れ筋ランキング2025年10月のトップは前月第2位だった「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i 日経225)」が上がった。前月トップの「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」は第2位に後退し、第3位は前月の第7位から「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」がジャンプアップした。そして、第6位に前月は第8位だった「eMAXIS 日経225インデックス」が上がるなど、国内株インデックスファンドの順位上昇が目立った。また、トップ10圏外から「ブラックロック・ゴールド・メタル・オープンBコース」が第8位にランクインした。
「Funds-i 日経225」が、米国株ファンドに追いついてきた?
10月の売れ筋で7月以来3カ月ぶりにトップに立った「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i 日経225)」は2024年8月~10月の3カ月連続でトップを維持するなど、野村證券の売れ筋では常にトップ3にランクされる人気ファンドだった。2024年の後半は「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」とトップを分け合い、2025年7月からは「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」とトップの座を競り合ってきた。競り合う相手は変わっても、「Funds-i 日経225」は常にトップを狙える位置にあった。昨年来「Funds-i 日経225」に投資してきた投資家は、史上最高値を更新した10月の上昇相場で大きな含み益を得ることができたことになる。
一方、第3位にジャンプアップした「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」はトップ10へのランクインは少ないファンドだ。今回も9月に第7位にランクインし、10月に第3位にまで上がった。その前は、5月に第10位にランクインし、6月に第7位に上がったものの、7月に第10位に後退したのち、8月はトップ10から落ちていた。その前は2024年3月までさかのぼってもトップ10にランキングされてはいない。野村證券の売れ筋では、「脇役」といえる存在だった。ただ、トップ3の位置まで上がってきたことによって、今後は、「株式」や「債券」とともに「純金(ゴールド)」も主要な投資対象として位置づけられるような存在になっていくかもしれない。今後トップ10上位(第5位以内)をキープし続けられるのか注目していきたい。
ファンドのパフォーマンスを振り返ると、「Funds-i 日経225」は2023年12月末を起点として2024年1月以来25年10月末までの推移で、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」を一度も上回ったことがない。しかし、2025年4月9日から10月末までの上昇率では「Funds-i 日経225」は66.29%であり、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」の38.22%を大きく上回っている。
また、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は10月末までに基準価額のピークは10月21日に付けている。その後、10月末に向けて下落相場となっているが、売れ筋ランキングは第3位まで大きく上昇した。これは、基準価額が下落に転じても押し目買いの購入が続いたのか、ピークをつける10月21日までの販売が強烈にあり、その後に多少の解約が出ても他のファンドを上回る購入額増を記録していたのか、どちらだったのだろうか? 後者の場合は、今後に基準価額が下落するような動きが続くと、一気にランキングを落とすことになりかねない。基準価額とともにランキングの変動にも注目したい。


