2024年の3月にゼロ金利政策が解除され、金利の上昇が続いています。高市首相の誕生で今後の金利の動向にも注目が集まっていることは、報道を通じてご存知でしょう。
では、金利が上がると、一般の家庭にはどんな影響があるのでしょうか?
決して他人ごとではない金利のいろはについて、運用歴30年の金利のプロが解説します。(全3回の2回)
※本稿は、福室光生著『投資は金利が9割 運用歴30年のプロが教える「儲ける技術」』(KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。
「お金が貯まる」保険への加入を検討する場合
「貯蓄性のある保険」として知られる商品に、終身保険(貯蓄型の死亡保険)や学資保険(教育資金準備のための保険)、個人年金保険(老後資金準備のための保険)があります。
これらの商品は、満期や解約時にお金が戻ってくるため、「お金を貯めるのに向いている」と思う人も多いようです。
しかし低金利環境のもとでは、こうした保険商品を選ぶのはあまり合理的ではないと言えます。
貯蓄型保険では、保険会社が契約者から預かった保険料を運用し将来の支払いに備えます。その際、契約者に約束する運用利回りを「予定利率」と呼びます。予定利率が高ければ保険料は割安になり、将来受け取る金額も増えやすくなるわけです。
しかし日本の金利低下にともない、予定利率は大きく引き下げられてきました。
特に2010年代後半には予定利率の指標となる「標準利率」が大幅に引き下げられています。2017年4月には金融庁が標準利率を年1.0%からわずか0.25%へと引き下げたのにともない、各社が軒並み予定利率を下げました。
この結果、お金が貯まる保険というイメージとはかけ離れた「ほとんどお金が増えない商品設計」を余儀なくされるようになっています。
一般論として、超低金利下で契約する貯蓄型保険は、その後に金利水準や物価が上がっても契約時に条件が固定されているため不利になる可能性が高いと言えます。
例えば、契約時に年0.5%の予定利率の貯蓄型保険に入ったとしましょう。この予定利率は、長期間運用を続けていく間、ずっと固定されることになります。
もちろん保険商品ですから、保障内容に応じた保険料は差し引かれるので、払い込んだ保険料すべてが運用に回るわけではないことにも注意しなくてはなりません。
受け取れる保険金や解約返戻金(へんれいきん)をもとに年利に換算すれば、0.5%を大きく下回る利回りにしかなりません。
