ファッション事業なぜ強い? 流行逃さないブランド戦略と短期MDサイクル管理
続いて、強さの秘密に迫ってみましょう。そもそも、パルグループホールディングスはなぜ利益の急成長を果たせたのでしょうか。
パルグループホールディングスは「3COINS」などの雑貨事業が注目されることが多いようです。しかし、中核は衣料事業です。「チャオパニック」や「ディスコート」など、60以上のブランドを展開し、連結営業利益の7割超を衣料事業から得ています。
そして、利益率や利益成長率も、近年は雑貨事業より衣料事業のほうが高水準です。先述のとおり、同社は業績拡大が顕著ですが、けん引しているのは衣料事業といえます。
衣料事業の強さを支えるのがブランド戦略です。パルグループホールディングスは、流行の移り変わりを「パルマップ」と呼ばれる指針で把握しています。
パルマップでは、「ソフト⇔ハード」と「ドレスアップ⇔ドレスダウン」の2軸で4つのゾーンに分類し、トレンドは各ゾーンを12年周期で一巡かつ進化すると考えます。パルグループホールディングスは、広範なブランドミックスで各ゾーンをカバーするほか、商品の80%を自社企画で生産し、売れ筋を逃さない戦略をとっています。
そして、パルマップでとらえたトレンドを生かすのがマーチャンダイジング(MD)です。調達から販売までの計画のことで、パルグループホールディングスは1つのMDを4週間で1サイクル、これを年13回展開します。
従来のMDサイクルは8週間でした。目線を短くすることで、トレンドをすぐに売り場に展開することができます。さらに、販売予測の精度が向上し、最終消化率が改善しました。同時に正価の売り上げが増え、値引きや在庫処分の販売が減少し、収益力の改善につながっています。
パルグループホールディングスは店舗の拡大が続いています。25年8月末では国内1132店舗と、3年間で199店舗増加しました(雑貨事業含む)。ブランド戦略と短期MD戦略による高採算の実現と、積極的な店舗展開が同社の高い成長を支えていると考えられます。