重要なメッセージは10月利上げの可能性
今回の「主な意見」で最も印象的だったのは、「金融政策運営に関する意見」に掲載された意見が予想以上に利上げに前のめりである点です。これまで日銀ウオッチャーとして毎回「主な意見」をチェックしてきましたが、ここまで前のめりな「主な意見」は初めてです。
今回、「金融政策運営に関する意見」に掲載された意見は全部で16個。このうち上場投資信託(ETF)の処分方針に関するものが6個、政策金利に関するものが10個でしたが、その10個のうちなんと7個が、利上げが近いことを示唆しています(図表6)。以下、簡単に解説しましょう。
<図表6 9月「主な意見」に掲載された利上げに前のめりな意見>

まず、1の「そろそろ再度の利上げを考えてもいい時期かもしれない」との意見は、野口旭審議委員のものと推察されます。9月29日に行われた講演で、野口委員は「私自身は、純粋に国内の経済状況という観点だけからみれば、そうした意味での新たな政策視野が必要な段階が近づきつつあると認識しています」と述べています。
2の「市場にサプライズとなる現時点での利上げは避けるべき」との意見は、9月MPMで利上げ提案した高田創審議委員と田村直樹審議委員に対してのものと思われますが、逆に市場が利上げをかなり意識している10月ならやれると読めなくもありません。
3の「ハードデータをもう少し確認してから判断しても遅くない」は、「もう少し」がどのくらい少しかがポイントになるとはいえ、利上げが視野に入っていることは明らかであり、4の「待つことのコストも徐々に大きくなっていく」は、米国経済の不確実性が完全に晴れるのを待つ余裕がないことを示唆しています。
5の意見は、今年度上期の企業収益や10月短観の結果に問題がなければ利上げ再開に踏み切れることを言明しているほか、6と7の意見はすでに利上げ再開のタイミングに差し掛かっているという明確なメッセージと受け取ることが可能です(7の意見は、9月に利上げを提案した田村審議委員のものと推察されます)。
以上のとおり、今回の「主な意見」は、明らかに利上げが近いというメッセージを発しており、今後予定されている政策委員の講演をチェックする必要はありますが(図表7)、10月利上げの確度がかなり高まっているとみて間違いなさそうです。
<図表7 今後予定されている政策委員の講演など>
