単身世帯に比べて元本割れ経験は多い? 少ない?
70代単身世帯では半数近くに上った元本割れ経験者の割合。続いて二人以上世帯ではどうだろうか。調査結果を見てみよう。
■元本割れの経験(70代二人以上世帯)
70代が世帯主の二人以上世帯では、元本割れ経験者はどの程度いるのか。調査によれば「経験がある」と回答した世帯は44.0%だった。先述の単身世帯(47.4%)と比べて3.4ポイント低い水準だが、いずれも「経験がない」と回答した人のほうが多いなど、総じて似た傾向にある。
回答者の資産の内訳にもよるが、元本割れを起こす可能性がある商品で運用を行ってきた人とそうでない人とで二極化している可能性もありそうだ。
元本割れをどう受け止めた?
調査では先述の単身世帯と同様に、二人以上世帯にも元本割れの受け止め方について聞いている。単身世帯では「自分の相場予想が外れたから」を理由に、「仕方がない」と受け止める人が最多だった。二人以上世帯では傾向に違いが見られるだろうか。
■元本割れ経験の受け止め方(70代二人以上世帯)
起きてはほしくない元本割れだが、実際に起きてしまった際にはどう受け止めたのか。70代二人以上世帯で最も回答率が高かったのは「自分の相場についての予想が外れたのであるから、それは仕方がない」で72.7%。先述の単身世帯(68.9%)より3.8ポイント高い水準だ。
次いで「自分が元本割れするリスクをよく理解していなかったのであるから、それは仕方がない」で17.6%。こちらも単身世帯(16.2%)に比べて1.4ポイント高い。逆に、金融機関が原因と考える人の割合は単身世帯に比べて少なかった。
70代の元本割れ経験と受け止め方から見えてくること
70代で元本割れを経験した人は40%を超え、他の年代と比べても高い水準にある。老後に向けて資産形成を行ってきた過程で元本割れを経験した人も多いのかもしれない。
すでに老後世代である70代は人生経験を重ねてきている。元本割れについても、相場の動向に一喜一憂しても仕方がない、そういう時期もあると素直に受け止めることにつながっている可能性もある。こうした姿勢は現役世代にとっても参考になるのではないだろうか。
■気になる元本割れへの対策については後編「【70代】虎の子の老後資産、「増やす」と「守る」どちらを選択? 元本割れと高収益の“はざま”で1600人の回答は」にて詳報している。
<調査概要> 調査名/「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構) 調査時期/令和6年6月21日~7月3日 調査対象/単身世帯:全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、二人以上世帯:全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)、総世帯:令和3年調査より二人以上世帯、単身世帯の調査方法が同一となったことから、両調査の計数を合算する形で作成を開始した参考計表 調査方式/インターネットモニター調査


