「ハンズ」売却から3年、新中計を公表 ホームの渋谷に3000億円追加投資
まずは前回の中期経営計画を振り返ります。
東急不動産ホールディングスは長期の経営方針「グループビジョン2030」を21年5月に公表しました。その実現に向け、事業の再構築フェーズとして策定したものが前中期経営計画です。
期間中は、東急ハンズをホームセンター運営のカインズへ22年3月に譲渡したほか、フィットネスクラブの東急スポーツオアシスも24年3月に手放しました。保有資産の見直しも進め、東急プラザ銀座やゴルフ場およびスキー施設といった収益性の低い物件を相次いで整理します。
この効果もあり、利益率は大幅に改善しました。営業利益率は25年3月期に12.24%に達し、21年3月期(同6.22%)から約2倍に向上します。そのほか、ROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)といった財務目標のすべてを達成し、計画を上回る好調な着地となりました。
そして25年5月、東急不動産ホールディングスは新しい中期経営計画を公表します。グループビジョン2030の最終段階の位置付けで、さらに利益を成長させる内容です。
【主な財務目標(~31年3月期)】
新中期経営計画では3つの重点領域を設定しました。うち中核となるのが「広域渋谷圏戦略の推進」です。「渋谷サクラステージ」や東急プラザ原宿「ハラカド」など、新たに開発した物件を中核に、ホームタウンの渋谷エリアでさらなる成長を目指します。
新規の投資も積み増します。31年3月期までの5年間で3000億円を投じ、広域渋谷圏利益(※)で300億円を稼ぎ出す計画です(25年3月期:同190億円)。
※広域渋谷圏利益…広域渋谷圏に関連するグループ全体の収入から、原価およびエリア固有の経費を差し引いた数値(マンション分譲益および投資家向け売却益等を除く)