なぜ社名変更? 主力は環境プラント、業績好調で最高益

まずは商号変更の経緯を振り返りましょう。

カナデビアの従来の商号は日立造船でした。祖業が造船業であることに加え、1936年に日立製作所の子会社となった経緯から、当初の社名であった大阪鉄工所を1943年に日立造船へと変更します。

しかし、戦後の財閥解体で日立グループとは資本関係を解消。造船業も2000年代に分離が進み、売り上げに占める比率は縮小していきます。現在は、エンジンなどの船舶関連事業を手掛けるほか、持分法適用会社に内海造船を持つものの、造船事業の売り上げはありません。

上記のような経緯から日立造船という社名は企業実態に即していないものとなっていました。誤解を招くという懸念から商号の変更に踏み切ります。

現在のカナデビアはプラント建設が主力です。ごみ処理や水処理といった環境施設の新設(EPC)および運営・メンテナンス(継続的事業)などを手掛けます。特に安定的な収益が見込める継続的事業の拡大に注力しており、25年3月期は連結売上高の41%を占めました。

環境プラント事業では、2010年に買収したスイスのイノバ社(現・カナデビアイノバ)も大きく貢献しています。同社を中心に展開するごみ焼却発電施設は世界トップクラスのシェアを持ち、特に欧州および中東市場では50%前後のシェアを握ります。海外売上高比率も上昇傾向で、25年3月期は48.7%に達しました。

【セグメント情報(25年3月期)】

カナデビアのセグメント情報(25年3月期)
 
出所:カナデビア 決算短信
 

業績も好調です。直近の25年3月期において、受注高および純利益は過去最高、売上高および営業利益は7期連続の増収増益を達成しました。特に受注の伸びが顕著で、受注残は25年3月末で1兆7954億円まで積み上がっています。工事の順調な消化が前提ですが、今後も当面は増収が続きそうです。

カナデビアの業績(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:カナデビア 決算短信より著者作成