海外は7年連続で赤字 黒字化へ投資拡大、利益目標100億円 

一方で課題もあります。長谷工コーポレーションは国内で高い優位性を持ちますが、実は海外では苦戦しています。

長谷工コーポレーションは大きく4つの事業を展開しますが、うち海外関連事業は7期連続の営業赤字です。投資が先行しているほか、1989年から続くハワイの大規模開発に伴う費用および商業施設「ワイカイ」の運営費が重く、赤字が続いています。特に25年3月期は、海外を中心に230億円の特別損失を計上し、連結の最終減益の主因となりました。

【セグメント情報(25年3月期)】

長谷工コーポレーションのセグメント情報(25年3月期)を表した図表
 
出所:長谷工コーポレーション 決算短信
 
長谷工コーポレーションの海外関連事業セグメント営業利益(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:長谷工コーポレーション 決算短信より著者作成
 

懸案の海外事業ですが、今後は黒字化に向かう計画です。長谷工コーポレーションは海外事業の収益化を重点戦略の1つに掲げており、ハワイ事業を除き28年3月期に50億円、31年3月期に100億円の経常利益の創出を目指します。

投資も拡大します。米国本土を中心に25年3月期までの5年間では1000億円を投じました。今後3年間ではさらに400億円を積み増します。また、米国本土では不動産投資が先行していますが、将来的には現地での施工能力も整備する方針です。さらに、イギリスを念頭に新しい進出先も模索し、事業を拡大させます。

なお、ハワイ事業は当面、費用の抑制に専念します。コロナ以降、特に日本からの集客が戻らず、現在まで回復しない状況が続いています。今後は商業施設の運営費の圧縮や、残地の売却に取り組みます。