大胆なリストラ断行 痛み甚大、5年間で4度の営業赤字

コニカミノルタは21年3月期から構造改革に着手しました。コロナ禍で主力のオフィス事業が打撃を受けたことがきっかけです。以降、コロナ影響で売り上げが伸び悩むなか、構造改革費が利益を圧迫する構図となります。

当初計画した3年間の構造改革期間は、すべて営業赤字でした。特に23年3月期は、16年に買収した独モボティクスを中心に1000億円を超える減損を実施したことから、950億円もの営業損失を計上します。これは、借入金の一部に付された「2期連続の営業損失を計上しない」旨の財務制限条項に抵触する危機的な状況でした。なお、金融機関は一括請求を行わないと判断したため、コニカミノルタは難を逃れます。

しかし、厳しい状況は続きます。26年3月期を最終とする中期経営計画において、構造改革の継続を決定しました。収益力の強化に向け、リストラを断行します。

23年10月に中国の光学電子部品事業の譲渡を、24年には17年に買収した米アンブリー・ジェネティクスと米インヴィクロの売却を公表しました。中核事業の1つだった精密医療事業(プレシジョンメディシン事業)は非継続事業へ整理します。さらに、改革は人員にも及び、グローバルで2700人の削減を実行しました。

事業の見直しは25年も相次ぎます。2月にフランスのソフトウェア事業の一部譲渡を決定したほか、3月にはマーケティング支援子会社や上述のモボティクスの売却を公表しました。これらに伴う費用のほか、減損も生じたことから、25年3月期は再び巨額の赤字を計上します。また、配当金も無配に転落しました。

【営業利益の推移】

・20年3月期:82億円(1株あたり配当金:25円)
・21年3月期:-163億円(同25円)
・22年3月期:-223億円(同30円)
・23年3月期:-951億円(同10円)
・24年3月期:275億円(同5円)
・25年3月期:-640億円(同0円)

出所:コニカミノルタ 決算短信