フリーCFは配当の3倍水準 今期は5期連続の増収増益を計画

次に株主還元の継続性について探っていきましょう。株主還元は現金および利益が原資であることから、キャッシュフローや業績の見通しがヒントとなります。

まずはキャッシュフローです。AOKIホールディングスのフリーキャッシュフローは、コロナ禍以降は安定的です。25年3月期で132.2億円あり、配当金の支払い額(同43.6億円)を大幅に上回ります。また、現金も350億円前後あることから、資金繰りには余裕がうかがえます。

AOKIホールディングスのキャッシュフロー(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:AOKIホールディングス 決算短信
 

業績の見通しはどうでしょうか。今期(26年3月期)は増収増益を計画します。ファッション事業は新規出店など、エンターテイメント事業は「快活クラブ」で鍵付き個室の拡大などから売り上げが増加し、利益も伸びる想定です。予想どおりなら、増収増益は5期連続です。業績はおおむね順調であることから、株主還元も計画どおり行われる見通しです。

【AOKIホールディングスの業績予想(26年3月期)】

・売上高:1980億円(+2.8%)
・営業利益:170億円(+8.6%)
・純利益:96億円(+0.3%)
※()は前期比
※同第1四半期時点における同社の予想

出所:AOKIホールディングス 決算短信

今期は第1四半期まで決算が公表されています。売上高は前年同期比で2.0%増、営業利益は同0.1%増でした。売上総利益は同5.4%増と好調だったものの、販管費の増加で打ち消された格好です。販管費の増加は、主にファッション事業での新規出店コストや人件費の増加に起因しました。

なお、通期の見通しは維持されています。先述のとおり、ファッション事業には季節性があることから、業績は下期に巻き返しを図る計画です。中間決算は例年11月に公表されています。