金は長期で高いリターンを期待できる
――NISAで全世界株式や米国株式にインデックス投資することがスタンダードな手法として確立されつつあります。その中で、金への投資を行う意義について教えてください。
チャン まずは、分散効果です。金は株式や債券との値動きの相関性が低いため、株価が大きく下落するような局面でポートフォリオ全体の下落を和らげる効果が期待できます。ほとんどの資産がマイナスになる中で金だけがプラス、ということもあり得ます。さらに、守りの資産というだけでなく、実は長期的なリターンも期待でき、長期で見ると株式に近い水準です。最もリターンが高い米国株と相関が低く、これほど効率的な分散投資先はなかなかありません(下図)。

稲 株式しか持っていないと、相場が急落した時に不安が募り、慌てて損切りしてしまう方もいらっしゃると思います。そうした場合でも、金にも分散投資していれば、資産全体の下落の幅を抑えられるため、精神的な支えにもなるでしょう。
――全世界株式や米国株式で資産形成を行っている人の場合、金をどのくらいの割合で組み入れるのが効果的でしょうか?
チャン ポートフォリオが全て株式であれば、金の割合は10〜15%以上あっても良いと思います。リスク資産の割合が大きければ大きいほど、分散効果を高めるために金の割合を増やす、という考え方が有効です。
稲 われわれのシミュレーションでは、例えばS&P500のインデックスファンドに100%投資する場合と、S&P500と金を50%ずつ保有する場合を比較すると、後者の方が投資パフォーマンスの結果が良くなりました(下図)。個人の投資家ごとに考え方も違うと思いますが、S&P500やオール・カントリーの次に何を買うか検討する際、金は非常に有力な選択肢になると言えるでしょう。
