業績は変動大きい 利益はコロナ後に急回復、最終益5600億円

業績からも総合商社のビジネスに迫ってみましょう。総合商社は市況の影響が強い資源事業を展開することから、一般に利益の変動は大きめです。また、投資と回収を繰り返すことから資産も大きく、減損(※)による大型の損失を計上することも少なくありません。住友商事も、利益は21年3月期を谷としたM字型の推移となっています。

※減損…資産の一部または全部を一度に取り崩す手続き。期待した収益が得られないと認識したとき、貸借対照表(バランスシート)上の資産額を減じ、減少分は損失として損益計算書に計上する。

21年3月期は1500億円を超える最終赤字でした。一時的損失が集中したことが主因です。新型コロナウイルスの拡大に伴い、鉱山の操業停止などからニッケル事業で、また需要の減退などから青果事業でそれぞれ大型の減損損失を計上しました。なお、一時的損失を除いても約20.2%の減益であり、当時は総じて厳しい経営環境でした。

翌22年3月期は大幅な回復となり、純利益は当時過去最高となる4637億円まで拡大します。ロシア・ウクライナ関連の損失がありながら、市況の上昇から資源事業が回復したほか、鉱山会社の売却益も貢献しました。翌23年3月期も資源と非資源がいずれも好調で、純利益は5652億円まで増加します。しかし、24年3月期は資源価格の下落を主因に減益となり、最終利益は3864億円まで減少しました。

直近の25年3月期は再び増益でした。純利益は5619億円と、過去最高圏まで回復します。不動産やリース、海外発電などを中心に非資源が好調だったほか、携帯電話販売代理店のティーガイア売却益や、ロシア・ウクライナ問題に起因する航空機リース関連の保険金が利益を押し上げました。

住友商事の業績(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:住友商事 決算短信より著者作成