「買い時」と考える最大の理由は「住宅ローン金利の上昇懸念」
「買い時だと思う」または「どちらかと言うと買い時だと思う」と回答した人にその理由を尋ねたところ※、最も多かったのは「住宅ローン金利が上がりそう」との回答で45.3%を占めた。続いて「住宅価格が値上がりしそう」が38.8%、「住宅ローン金利が低水準」が22.6%となっている。
※3つまで回答可、以下「買い時と思わない理由」の質問も同様
これらの回答から、多くが将来の金利上昇や住宅価格の高騰を懸念し、先手を打って住宅を購入しようと考えていることがうかがえる。特に金利への関心が強く、「住宅ローン金利が上がりそう」と「住宅ローン金利が低水準」を合わせると67.9%に達する。
また、「住宅価格が手頃」(17.6%)、「収入や貯蓄が安定してきた」(16.8%)、「住宅取得のための支援制度が実施されている」(10.7%)といった回答も見られ、個人の経済状況や政策的な後押しも「買い時」判断の材料になっていることが分かる。
「買い時ではない」と考える最大の理由は「住宅価格の高さ」
一方、「買い時とは思わない」または「どちらかと言うと買い時とは思わない」と回答した人の理由として最も多かったのは「住宅価格が高い」で54.4%を占めた。半数以上の人が現在の住宅価格の高さを懸念していることになる。
次いで多かったのは「住宅ローン金利が上がりそう」31.5%、「住宅ローン金利が高い」24.1%、「収入や貯蓄に不安がある」23.6%、となっている。
興味深いのは、「住宅ローン金利が上がりそう」という同じ状況に対する認識が、「買い時」派では購入を急ぐ理由となっている一方、「買い時ではない」派では購入を控える理由となっていることだ。同じ状況下にあっても、個人の経済状況や将来展望などによって判断が大きく分かれている。
また、「買い時ではない」派には「住宅価格が少し待てば下がりそう」と回答した人も22.0%おり、将来の住宅市場に対する見通しにも違いがあるようだ。
金利と住宅価格が住宅購入の判断を左右
住宅購入は大きな決断だ。市場環境の分析だけでなく、自身の収入や貯蓄の安定性、将来のライフプランなど総合的な判断が必要になる。特に買い時と思わない人の中には「収入や貯蓄に不安がある」という人が2割超いることから、個人の経済基盤が購入判断に大きく影響していることが分かる。
前述どおり、住宅取得予定者の間では「今が買い時」と考える人がやや多数派であることが明らかになった。その主な理由は「住宅ローン金利の上昇懸念」と「住宅価格の値上がり懸念」であり、一方で「買い時ではない」と考える人々の主な理由は「住宅価格の高さ」となっている。
同じ市場環境でも、個人の経済状況や将来見通しによって判断が分かれる点からは、住宅ローン金利や住宅価格の動向を注視しつつも、無理のない範囲での住宅取得を検討することが現実的な選択肢となっているといえそうだ。
●気になる金利動向に住宅購入予定者の決断は? 後編「住宅購入戦線に異常あり? 日銀の金融政策変更で購入計画に影響はあったか「住宅ローン利用予定者1500人」の本音」にて詳報する。
調査概要 調査名:「住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用予定者調査(2025年4月調査)】」 調査主体:住宅金融支援機構 公表日:2025年6月27日 調査期間:2025年4月30日~5月12日 調査対象:今後5年以内に具体的な住宅の取得予定があり、住宅ローン※を利用予定の1500人(全国20歳以上~70歳未満、学生・無職除く) ※借換、リフォームローン、土地のみローン、投資用ローン除く)