頭金「ゼロ・1割」での住宅購入も今は昔?!「きちんと準備」に回帰の予兆

頭金とは、住宅購入価格から住宅ローン借入額を引いた、現金で支払う部分のことを指します。かつては、「頭金を2~3割準備する」というのが一般的な考え方でしたが、借入金利が下がるにつれて「頭金をゼロ・1割にして、借りられるだけ借りる」という考え方が主流となりました。

実際、ミライ研の調査においても、1990年までは、頭金がゼロ・1割のケースが28.1%、2・3割のケースが56.0%でしたが、2021年~2024年では、頭金がゼロ・1割のケースが59.8%、2・3割のケースが24.1%と逆転しています(図表3)。

【図表3】住宅ローンの頭金割合(1990年~2024年)

 

※頭金割合「わからない・忘れた」は除く ※グラフ内数値5.0%未満は省略

しかし、頭金の割合についても足元5年を確認すると、2020年~2023年までは、頭金ゼロ・1割が半数を超えて主流派でしたが、2024年は、頭金ゼロ・1割が44.9%と減少し、2割以上が増加しています(図表4)。

これも先ほどの金利形態同様、今後の金利上昇を考慮して「借入金額を減らす=頭金を増やす」といった行動をとる人が出始めたと考えられます。

【図表4】住宅ローンの頭金割合(2020年~2024年)

 

※頭金割合「わからない・忘れた」は除く ※グラフ内数値5.0%未満は省略

「変動金利・頭金ゼロ戦略」も、金利上昇に伴って転換が生じているものと思われます。次回は、借入金額・期間について確認します。

●参考:【「金利がある世界」で変わり始めた住宅ローンの選択…人々の借入金額、借入期間はどう変化した?】

(三井住友トラスト・資産のミライ研究所 矢野 礼菜)