運用益に税金がかからない

通常、投資信託の売買で得た利益には税金がかかる。これは預金の利息も同じだ。税率は約20%。例えば100万円を定期預金に預けて、仮に1000円の利息がついてもそこから約200円は引かれるため、手取りは800円を切ってしまう。

しかし、iDeCoの運用で得られた利益の場合、この税金がゼロになる。仮に何十年にもわたって資産運用を続ければ、場合によっては運用益も大きくなる。その約20%が税金として流出せずに手元に残るのは、資産を増やす上で大きなメリットになるだろう。

運用資産を受け取る時も税制優遇

公的年金や退職金は老後生活を支える大事な収入だが、額面のまま受け取ることはできない。税制上は所得として所得税や住民税がかかるからだ。しかし実際には加入年数(勤続年数)、受取金額などに応じて一定額が所得から控除されることで税負担は軽減される。

実はiDeCoで運用した資産を受け取る際も同じ税制優遇が受けられる。資産全額をまとめて受け取るときは「退職所得控除」、毎年少しずつ受け取るときは「公的年金等控除」といった仕組みが活用できる。

結果として所得控除で税負担が軽減されるのは大きなメリットではないだろうか。

「資産運用」を過度に恐れる必要はない?

ここまでiDeCoのメリットについて解説した。iDeCoに限らず、昔は資産運用といえば一部のお金持ちが行う「特別なこと」と思われていた時期があったかもしれない。しかし物価高騰が続く現在、資産運用は財産の目減りを防ぎ、老後資金を準備するために一般の人も行う「普通のこと」に変わりつつある。資産運用を過度に怖がらずに、前向きに検討してみてはいかがだろうか。

●さまざまなメリットがあるiDeCo。しかし、デメリットはないのだろうか?後編『30年で6万円の手数料?iDeCo(個人型確定拠出年金)のデメリットを考える』ではその点について詳細にお伝えする。