年金収入が主となる高齢者世帯の所得の実情

全世帯と高齢者世帯の所得分布を比較するとその特徴が明確に表れる。高齢者世帯の所得は100万~250万円が約4割と先述したが、100万円未満を合わせると49.7%と過半数に近い。対して全世帯では100万~250万円が22.2%と約2割、100万円未満を合わせても29.1%と3割に満たない。

具体的に見ていくと、50万~100万円では高齢者世帯が10.0%と、全世帯の5.6%を2倍近く上回っている。前掲の表のグラフでは400万円未満の所得層において、高齢者世帯の方が全世帯より高い割合にある傾向がみられる。

一方、400万円以上になると、全世帯の割合が高齢者世帯を上回るようになる。例えば、400万~450万円では全世帯が5.8%であるのに対し、高齢者世帯は5.5%。所得が増加するほどこの差は顕著となり、おおむね500万円以上から全世帯の割合が高齢者世帯を大きく上回ってくる。

65歳以上の生活を支える大きな収入が年金だが、今後、高齢化がさらに進展する中で高齢者の就労促進や資産形成支援など、公的年金に過度に依存しない経済的基盤を築くことが求められる。

調査概要 白書名:令和7年版高齢社会白書 調査主体:内閣府 公表日:2025年6月10日